あかがね

 

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2009年12月21日 03:45:01
2010年02月5日 14:41:07

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神鷺之巻 - 泉 鏡花
  • ...というが、石でも銅(あかがね)でもない。台所の俎で。……媼(うば)の形相は、絵に描いた安達(あだち)ヶ原と思うのに、頸(くび)には、狼の牙(きば)やら、狐の目やら、鼬(いたち)の足やら、つなぎ合せた長数珠(ながじゅず)に三重(みえ)に捲(ま)きながらの指図でござった。  ……不思議というは、青い腰も血の胸も、死骸はすっくり俎の上へ納って、首だけが土間へがっくりと垂れる。めったに使ったことのない、大俵の炭をぶちまけたように髻(もとどり)が砕けて、黒髪が散りかかる雪に敷いた。媼が伸上り、じろりと視(み)て、「天人のような婦(おんな)やな、羽衣を剥(む)け、剥け。」と言う。襟も袖も引き※(むし)る...
ひのきとひなげし - 宮沢 賢治
  • ...きたて燃えたての銅(あかがね)づくりのいきものなんだ。」 「いやあだ、お日さま、そんなあかがねなんかじゃないわ。せだけ高くてばかあなひのき。」ひなげしどもはみんないっしょに叫(さけ)びます。  ところがこのときお日さまは、さっさっさっと大きな呼吸を四五へんついてるり色をした山に入ってしまいました。  風が一そうはげしくなってひのきもまるで青黒馬(あおうま)のしっぽのよう、ひなげしどもはみな熱病にかかったよう、てんでに何かうわごとを、南の風に云ったのですが風はてんから相手にせずどしどし向うへかけぬけます。  ひなげしどもはそこですこうししずまりました。東には大きな立派な雲の峰(みね)が少...
化銀杏 - 泉 鏡花
  • ...なりて、茶棚より銅(あかがね)の水差を取下して急がわしく水を注(さ)しつ。 「いいえ、違うよ。私のはまた全く芳さんの姉さんとは反対(あちこち)で、あんまり深切にされるから、もう嫌で、嫌で、ならないんだわ。」  少年は太(いた)く怪(あやし)み、 「そんな事っちゃアあるもんでない。何だって優しくされて、それで嫌だというがあるものか。」 「まあさ、お聞きなね。深切だといえば深切だが、どちらかといえば執着(しつこ)いのだわ。かいつまんで話すがね、ちょいと聞賃をあげるから。」  と菓子皿を取出(とりいだ)して、盛りたる羊羹(ようかん)に楊枝(ようじ)を添え、 「一ツおあがり、いまお茶を入替...
老いたる素戔嗚尊 - 芥川 竜之介
  • ...外、毒々しい、銅色(あかがねいろ)の、大きな百足(むかで)ばかりであつた。        十  葦原醜男はためらつた。すると側にゐた須世理姫が、何時の間に忍ばせて持つて来たか、一握りの椋(むく)の実と赤土とをそつと彼の手へ渡した。彼はそこで歯を鳴らして、その椋の実を噛みつぶしながら、赤土も一しよに口へ含んで、さも百足をとつてゐるらしく、床の上へ吐き出し始めた。  その内に素戔嗚は、昨夕(ゆうべ)寝なかつた疲れが出て、我知らずにうとうと眠にはひつた。  ……高天原の国を逐(お)はれた素戔嗚は、爪を剥がれた足に岩を踏んで、嶮しい山路を登つてゐた。岩むらの羊歯(しだ)、鴉(からす)の...
富士に就いて - 太宰 治
  • ...山肌が朝日を受けて、あかがね色に光っている。私は、かえって、そのような富士の姿に、崇高を覚え、天下第一を感ずる。茶店で羊羹(ようかん)食いながら、白扇さかしまなど、気の毒に思うのである。なお、この一文、茶屋の人たちには、読ませたくないものだ。私が、ずいぶん親切に、世話を受けているのだから。 底本:「太宰治全集10」ちくま文庫、筑摩書房    1989(平成元)年6月27日第1刷発行 底本の親本:「筑摩全集類聚版太宰治全集」筑摩書房    1975(昭和50)年6月〜1976(昭和51)年6月 初出:「国民新聞」    1938(昭和13)年10月6日発行 入力:土屋隆...


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