おもいで

 

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2009年12月28日 12:01:14
2010年01月8日 22:00:01
2010年01月4日 01:49:59
2009年10月23日 03:56:02
2009年12月7日 01:11:14

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「おもいで」を含む小説

白金之絵図 - 泉 鏡花
  • ...のも、何となく思出(おもいで)の暑さを見せて、世はまださして秋の末でもなさそうに心強い。  そこをあちこち、覗(のぞ)いたり、視(み)たり、立留(たちどま)ったり、考えたり、庭前(にわさき)、垣根、格子の中。 「はてな。」  屋の棟を仰いだり、後退(あとずさ)りをまたしてみたり。 「確(たしか)に……」  歩行(あるき)出して、 「いや、待てよ……」  と首を窘(すく)めて、こそこそと立退(たちの)いたのは、日当りの可(い)い出窓の前で。 「違うかの。」と独言(ひとりごと)。変に、跫音(あしおと)を忍ぶ形で、そのまま通過ぎると、女学校のその通用門を正面(まとも)に見た。 「こ...
駅夫日記 - 白柳 秀湖
  • ...いめぐらして、追懐(おもいで)はいつしか昔の悲しい、いたましい母子(おやこ)の生活の上に遷(うつ)ったのである。  ぼんやりしていた私は室の入口のところに立つ人影に驚かされた、見上げるとそれは白地の浴衣(ゆかた)に、黒い唐縮緬(とうちりめん)の兵児帯(へこおび)を締めた、大槻であった。 「君! 汽車は今日も遅れるだろうね」 「ええ十五分ぐらい……は」と私は答えた。山の手線はまだ世間一般によく知られていないので、客車はほとんど附属(つけたり)のような観があった、列車の遅刻はほとんど日常(いつも)のこととなっていた。  日はもういつしか暮れて蜩(ひぐらし)の声もいつの間にか消えてしまった。...
ふもれすく - 辻 潤
  • ...から伊藤野枝さんの「おもいで」という題を与えられていたのだった。伊藤野枝ともN子とも野枝君ともいわないで僕は野枝さんという。なぜなら、僕の親愛なるまこと君が彼女――即ちまこと君の母である伊藤野枝君を常にそう呼んでいるからなのだ。  僕が野枝さんのことについてなにか書くのはこれが恐らく初めてだ。これまでも度々方々から彼女についてなにか書けという注文を受けたが、一度も書かなかった。なにも僕はもったいぶっていた訳でもなんでもなかったのだ。ただ書く興味が起こらなかったばかりなのだ。去年も「怪象」で大杉君が自叙伝の一節として例の葉山事件を書いた時、それに対して神近君が痛烈な反駁をした事があったが、その...
苦しく美しき夏 - 原 民喜
  • ...いつも神経を斫り刻むおもいで、難渋を重ねながらペンをとった。……このようにして年月は流れて行った。だが、外部の世界と殆ど何の接触もなく静かに月日を送っていることは、却(かえ)って鋭い不安を掻(か)きたてていた。天井の板が夜ことりと音をたてただけでも、彼の心臓をどきりとさせたし、雨戸の節穴から差してくる月の光さえも神経を青ざめさせた。  それからやがて、あの常に脅かされていたものが遂にやって来たのだ。戦争は、ある年の夏、既にはじまっていた。彼はただ頑(かたくな)な姿勢で暗い年月を堪えてゆこうとした。が、次第に彼は茫然として思い耽るばかりだった。幼年時代に見た空の青かったこと、水の澄んでいた...
朝飯 - 島崎 藤村
  • ...もの聞くものは回想(おもいで)のなかだちであったのである。其時自分は目を細くして幾度となく若葉の臭を嗅いで、寂しいとも心細いとも名のつけようのない――まあ病人のように弱い気分になった。半生の間の歓(うれ)しいや哀しいが胸の中に浮んで来た。あの長い漂泊の苦痛(くるしみ)を考えると、よく自分のようなものが斯うして今日まで生きながらえて来たと思われる位。破船――というより外に自分の生涯を譬える言葉は見当らない。それがこの山の上の港へ漂い着いて、世離れた測候所の技手をして、雲の形を眺めて暮す身になろうなどとは、実に自分ながら思いもよらない変遷(うつりかわり)なのである。  こう思い耽って居ると、誰か...


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