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2010年01月11日 07:25:04
2009年12月4日 05:00:10
2009年12月5日 14:00:00
2010年01月23日 17:55:07

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月の夜がたり - 岡本 綺堂
  • ...もその群れにまじってぶらぶらしているうちに、ふと或るものを見付けてまたぞっとした。その人ごみのなかに、昼間下谷の空家で見た婆さんらしい女が立っているのだ。広い世間におなじような婆さんはいくらもある。ばあさんの顔などというものは大抵似ているものだ。まして昼間見たのはその横顔だけで、どんな顔をしているのか確かに見届けた訳でもないのだが、どうもこのばあさんがそれに似ているらしく思われてならない。幾たびか水をくぐったらしい銚子縮(ちょうしちぢみ)の浴衣(ゆかた)までがよく似ているように思われるので、彼は何だか薄気味が悪くなって、早々にそこを立去った。  彼は方角をかえて、神田から九段の方へ行くと、九...
茨海小学校 - 宮沢 賢治
  • ...袋だけ手にもって、又ぶらぶらと向うへ歩いて行きました。  何べんもばらがかきねのようになった所を抜(ぬ)けたり、すすきが栽(う)え込(こ)みのように見える間を通ったりして、私は歩きつづけましたが、野原はやっぱり今まで通り、小流れなどはなかったのです。もう仕方ない、この辺でパンをたべてしまおうと立ちどまったとき、私はずうっと向うの方で、ベルの鳴る音を聞きました。それはどこの学校でも鳴らすベルの音のようで、空のあの白いうろこ雲まで響(ひび)いていたのです。この野原には、学校なんかあるわけはなし、これはきっと俄(にわか)に立ちどまった為(ため)に、私の頭がしいんと鳴ったのだと考えても見ましたが、ど...
鼠 - 岡本 綺堂
  • ...此はその後三月ほどもぶらぶら病で床についたほどであった。七兵衛も費用を惜しまずに、出来るかぎりの手段をめぐらして、娘のゆくえを探り求めたが、飛び去った雛鳥はふたたび元の籠(かご)に帰らなかった。  そのうちに、一年過ぎ、二年を過ぎて、近江屋の夫婦は諦められないながらに諦めるのほかはなかった。それでも何時(いつ)どこから戻って来るかも知れないという空頼みから、近江屋ではその後にも養子を貰おうとはしなかった。お元が無事であれば、ことしは十八の春を迎えることになる。ゆくえの知れない子供の年をかぞえて、お此は正月早々から涙をこぼした。  七兵衛が今度の伊勢まいりは四十二の厄除(やくよけ)というので...
白髪鬼 - 岡本 綺堂
  • ...食った後に散歩ながらぶらぶら行ってみることになったのですから、甚だ不信心の参詣者というべきでした。今夜は初酉だそうですが、天気がいいせいか頗(すこぶ)る繁昌しているので、混雑のなかを揉まれながら境内(けいだい)と境外を一巡して、電車通りの往来まで出て来ると、ここも露天で賑わっている。その人ごみの間で不意に声をかけられました。 「やあ、須田君。君も来ていたんですか。」 「やあ、あなたも御参詣ですか。」 「まあ、御参詣と言うべきでしょうね。」  その人は笑いながら、手に持っている小さい熊手と、笹の枝に通した唐(とう)の芋とを見せました。彼は山岸猛雄――これも仮名です――という男で、やはり私...
走れメロス - 太宰 治
  • ...、それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈(はず)だが、と質問し...

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