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2009年12月5日 13:53:00
2010年01月17日 16:06:16
2010年01月16日 10:11:02
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支那米の袋 - 夢野 久作
  • ...んて、コンナに正直なもんたあ思わなかったよ」 「ウーム。こんな素晴らしい思い付きは、彼奴(あいつ)の頭でなくちゃ出て来っこねえ。何しろ革命から後(のち)ってものあ、どこの店でも摺(す)れっ枯(か)らしを追い出して、いいとこのお嬢さんばかりを仕入れたっていうからな……そこを睨んだのがヤングの智恵よ」 「成る程ナア……ところでそのヤングはどこへ行きやがったんだろう」 「おやじん処(とこ)へ談判に行ったんだろう。生きたオモチャをチットばかし持込んでいいかってよ」 「……ウーム。しかしなア……おやじがうまくウンと云えあ良(い)いが……」 「それあ大丈夫よ。それ位の智恵なら俺だって持っている。...
酔ひたる商人 - 水野 仙子
  • ...のをばさはよくむせたもんた。おふくろの背中では三郎がじくね出す、なにお客に來たつてゐたやうでも何でもねえんだげつと、それでもをばさはお茶だけでも飮んで行がねと惡いと思つて、我慢してゐられたのが、おれあ子供心にもよくわかつた……「よし、おれが大きくなつたら一所懸命稼いで金持になつて……」と、おれは恥しさのあまりに、よくかう決心したんもんだつた……』  彼は忘れてゐた盃を取り上げて、無意識に飮み干した。正兵衞はそれを見て早速徳利を取り上げた。 『そこでだ、なえ本家。』と、彼はまたこぼれかけた盃を、首を屈めて一口吸つて、『おれはこつちのお父さから六十錢の資本を貰つた、正しく金六十錢也の資本だ……...
寺内の奇人団 - 淡島 寒月
  • ...例の新門辰五郎(しんもんたつごろう)が、見世物をするならおれの処に渡りをつけろ、といって来た事がありました。しかし父は変人ですし、それに水戸の藩から出た武士|気質(かたぎ)は、なかなか一朝一夕にぬけないで、新門のいう話なぞはまるで初めから取合わず、この興行の仕舞まで渡りをつけないで、別派の見世物として取扱われていたのでした。  それから次には伊井蓉峰(いいようほう)の親父(おやじ)さんのヘヾライさん。まるで毛唐人(けとうじん)のような名前ですが、それでも江戸ッ子です。何故ヘヾライと名を附けたかというと、これにはなかなか由来があります。これは変人の事を変方来な人といって、この変方来を、もう一つ...
じゅりあの・吉助 - 芥川 竜之介
  • ...廻された上、さんと・もんたにの下の刑場で、無残にも磔(はりつけ)に懸けられた。  磔柱(はりつけばしら)は周囲の竹矢来(たけやらい)の上に、一際(ひときわ)高く十字を描いていた。彼は天を仰ぎながら、何度も高々と祈祷を唱えて、恐れげもなく非人(ひにん)の槍(やり)を受けた。その祈祷の声と共に、彼の頭上の天には、一団の油雲(あぶらぐも)が湧き出でて、ほどなく凄じい大雷雨が、沛然(はいぜん)として刑場へ降り注いだ。再び天が晴れた時、磔柱の上のじゅりあの・吉助は、すでに息が絶えていた。が、竹矢来(たけやらい)の外にいた人々は、今でも彼の祈祷の声が、空中に漂っているような心もちがした。  それは「べ...
明治大正美人追憶 - 長谷川 時雨
  • ...)は、井上侯が聞太(もんた)だった昔の艶話(つやばやし)にすぎないとして、下田歌子(しもだうたこ)女史は明治初期の女学、また岸田俊子(きしだとしこ)、景山英子(かげやまひでこ)は女子新運動史をも飾る美人だった。愛国婦人会を設立した奥村五百子(おくむらいおこ)も、美丈夫のような美しさがあった。上野公園の石段にたって叫んでいた宮崎光子(みやざきみつこ)も立派であった。有島氏と死んだ中央公論社の婦人記者|波多野秋子(はたのあきこ)、さては新劇壇の明星|松井須磨子(まついすまこ)も書きのこされまい。芳川鎌子(よしかわかまこ)を知る人は、それより一足前にあった、大坂|鴻池(こうのいけ)夫人福子の哀れな心...

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