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2009年10月17日 22:35:25
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2010年01月4日 19:41:06
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戦雲を駆る女怪 - 牧 逸馬
  • ...インド駐在軍司令部のキャンベル・マクリイ卿が、祭壇に踊っている彼女を見染(みそ)めてひそかに神殿から奪い去った。マクリイ卿夫妻は、インドで贅沢(ぜいたく)な生活を続けて、一男一女を挙げたが、土人の庭師が、マタ・アリへの横恋慕(よこれんぼ)から彼女の長男を毒殺したので、マタ・アリが良人(おっと)の拳銃(ピストル)で庭師を射殺した事件が持ちあがって、夫妻はインドにいられなくなり、倉皇(そうこう)としてヨーロッパへ帰った。ヨーロッパへ帰ると同時に、マクリイ卿との結婚生活にも破綻(はたん)が来た。ひとり娘を尼院に預けて、マタ・アリは離婚を取り、当時、大戦という大暴風雨の前の不気味な静寂(せいじゃく)に...
南路 - 宮本 百合子
  • ...そして、果物や糖菓(キャンディー)の紙袋を抱えて来て、皆に食べさせる。出来るだけ食堂に出ず入費を除いて充分に旅行を楽しもうというのである。  たださえ退屈しているところだから、窓を透して、転って行くお婆さんの後つきを見るのは、なかなか罪のないみものであった。  コンダクタアが、ちゃんと番をしているのだから、たとい時間になっても、一分や二分待っていてくれるのは知れきっている。が、年を取って一層不正確になった女性の頭を持つ彼女は、幾度繰返しても、なお初めてのように周章狼狽する。  独りで構内まで行くのは心細いのだろう。娘に、お前もおいで、来ておくれよ、と後を振返って呼びかけ叫びかけ駈けて行く...
大菩薩峠 39 京の夢おう坂の夢の巻 - 中里 介山
  • ...ジャー)、罐巻締機(キャンコ・シーマー)、漏気試験機(エアー・テスター)がコンクリートで固めた床を震わしながら、耳をろうする音響をトタン張りの天井に反響させていた。鉄骨の梁(はり)を渡っているシャフトの滑車(プレー)の各機械を結びつけている幾条ものベルトが、色々な角度に空間を切りながら、ヒタ、ヒタ、ヒタ、タ、タ、タ……と、きまった調子でたるみながら廻転していた。むせッぽい小暗い工場の中をコンヴェイヤーに乗って、機械から機械へ移っていく空罐詰が、それだけ鋭く光った。――女工たちは機械の音に逆った大きな声で唄をうたっていた。で、窓は知らずにいた。  ――あらッ! 「田中絹代」が声をあげた。この...
落ちてゆく世界 - 久坂 葉子
  • ...とは、野球場でアイスキャンデーをうりあるくとはりきって、いよいよ、そのアルバイトの初めの日、いさんで西宮へ出かけた信二郎は、からのキャンデー箱を肩からつけて二三歩あるいたなり、もう動けなかったという話であります。「それみろ」父は申しました。信二郎は今年新制大学にはいりました。一人前に角帽をかぶっているのに、末子で、いつまでたっても一人でどんどん事をはこぶことが出来ません。 「母様にはときふせてあげましょう。父様は、金城鉄壁だけれど、何とかなるでしょう」 「ダンケ。頼むよ」  父が、嗅薬を用いたとみえて、きなくさい臭いが家内中にただよいました。それから私は信二郎と二人で、さいころを始めまし...
ゼーロン - 牧野 信一
  • ...ながら古い自作の「新キャンタベリイ」と題する Ballad(うまおいうた) を、六脚韻を踏んだアイオン調で朗吟しはじめたが一向|利目(ききめ)がなかった。 「五月の朝まだきに、一片の花やかなる雲を追って、この愚かなアルキメデスの後輩にユレーカ! を叫ばしめたお前は、僕のペガサスではなかったか! 全能の愛のために、意志の上に作用する善美のために、苦悶の陶酔の裡に真理の花を探し索(もと)めんがために、エピクテート学校の体育場へ馳(は)せ参ずるストア学生の、お前は勇敢なロシナンテではなかったか!」  私は鞍(くら)を叩(たた)きながら、将士|皆(み)な盃と剣を挙げて王に誓いたり、吾こそ王の冠の、...


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