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2010年01月3日 06:01:00
2010年01月23日 22:11:11
2009年11月25日 02:10:01
2009年11月28日 08:24:02
2009年12月8日 08:00:07

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斜坑 - 夢野 久作
  • ...ず面喰らわせられた。何もかも心得ているお作の前にかしこまって、赤ん坊のようにオドオドするばかりであったが、それでもどうしていいか解からないまま五日十日と経って行くうちに、福太郎はいつの間にか、お作の白い顔を見に帰るべく仕事の仕上(きりあ)げを急ぐようになっていた。毎朝起きて見ると、自炊時代と打って変って家(うち)の中がサッパリと片付いている枕元に、キチンと食事の用意が出来ているのが、勿体ないくらい嬉しかったばかりでなく、夕方疲れてトボトボとうなだれて帰って来る坑夫納屋の薄暗がりの中に、自分の家だけがアカアカとラムプが点(つ)いているのを見ると、有り難いとも何とも云いようのない思いで胸が一パイに...
貧乏 - 幸田 露伴
  • ...(つま)らねえ、こう何もかもぐりはまになった日にゃあ、おれほどのものでもどうもならねえッ。いめえましい、酒でも喫(くら)ってやれか。オイ、おとま、一|升(しょう)ばかり取って来な。コウト、もう煮奴(にやっこ)も悪くねえ時候だ、刷毛(はけ)ついでに豆腐(とうふ)でもたんと買え、田圃(たんぼ)の朝というつもりで堪忍(かんにん)をしておいてやらあ。ナンデエ、そんな面(つら)あすることはねえ、女(おんな)ッ振(ぷり)が下がらあな。 「おふざけでないよ、寝(ね)ているかとおもえば眼(め)が覚(さ)めていて、出しぬけに床(とこ)ん中からお酒を買えたあ何の事(こっ)たえ。そして何時だと思っておいでだ、もう...
悟浄出世 - 中島 敦
  • ...は、あれは、俺たちが何もかも徹底的に忘れちまうからのことなんだ。昨日のことどころか、一瞬間前のことをも、つまりそのときの知覚、そのときの感情をも何もかも次の瞬間には忘れちまってるんだ。それらの、ほんの僅(わず)か一部の、朧(おぼろ)げな複製があとに残るにすぎないんだ。だから、悟浄よ、現在の瞬間てやつは、なんと、たいしたものじゃないか」と。  さて、五年に近い遍歴(へんれき)の間、同じ容態に違った処方をする多くの医者たちの間を往復するような愚かさを繰返したのち、悟浄(ごじょう)は結局自分が少しも賢くなっていないことを見いだした。賢くなるどころか、なにかしら自分がフワフワした(自分でないよう...
追儺 - 森 鴎外
  • ...はない。宗教も道徳も何もかも同じ事である。  暫くして M. F 君が来た。いつもの背広を著て来て、右の平手を背後に衝いて、体を斜にして雑談をする。どうしても人魚を食つた嫌疑を免れない人である。僕は豆打の話をした。「さうか。それは面白い。みんなが来てからもう一遍遣らして遣る。」  それからみんなが来た。いづれも福々しい人達であつた。選抜の芸者が客の数より多い程押し込んできた。  二度目の豆打は余り注意を惹かずにしまつた。  話はこれ丈である。批評家に衒学の悪口といふのを浚ふ機会を与へる為めに、少し書き加へる。  追儺は昔から有つたが、豆打は鎌倉より後の事であらう。面白いのは羅馬に似寄...
外套 - ゴーゴリ ニコライ
  • ...くせに、自分ではもう何もかも話したつもりで、あとはすっかり忘れてしまうようなことが時々あった。 「何でござんすかね?」ペトローヴィッチはそう言うと同時に、その一つきりの眼で相手の制服を残るくまなく、襟から袖口、背中から、裾(すそ)やボタン穴にいたるまで、しげしげと眺めまわしたが、それは彼自身の手がけたものだけに、一から十まで知りつくしていたのである――もっともこれは仕立屋仲間の習慣(ならわし)で、人に出会うとまず第一にやる癖でもあった。 「いや、実はその、何だよ、ペトローヴィッチ……外套だがね、ラシャは……そら、ほかのところはどこもかも、まだまったく丈夫で……少々ほこりによごれて、古そうに...

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