原野

 

原野 ( はらの )     原野についてまとめて読む

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2009年11月10日 12:55:04
2009年12月1日 03:25:23
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芋粥 - 芥川 竜之介
  • ...に、荒涼とした周囲の原野を眺めながら、うろ覚えの観音経(くわんおんぎやう)を口の中に念じ念じ、例の赤鼻を鞍の前輪にすりつけるやうにして、覚束ない馬の歩みを、不相変(あひかはらず)とぼとぼと進めて行つた。  馬蹄の反響する野は、茫々たる黄茅(くわうばう)に蔽(おほ)はれて、その所々にある行潦(みづたまり)も、つめたく、青空を映したまま、この冬の午後を、何時かそれなり凍つてしまふかと疑はれる。その涯(はて)には、一帯の山脈が、日に背いてゐるせゐか、かがやく可き残雪の光もなく、紫がかつた暗い色を、長々となすつてゐるが、それさへ蕭条(せうでう)たる幾叢(いくむら)の枯薄(かれすすき)に遮(さへぎ)ら...
木曽義仲論 - 芥川 竜之介
  • ...越え、旌旗剣戟岳南の原野を掩ひて、長駆西上の日将に近きにあらむとす。彼の胸中にして、自ら安ずる能はざりしや、知るべきのみ。加ふるに嫡孫維盛の恥づべき敗軍(治承四年十月)は、東国の風雲益※急にして、革命の気運既に熟せるを報じたるに於てをや。是に於て、彼は福原に退嬰するの平氏をして、天下の怨府たらしむる所以なるを見、一歩を退くの東国の源氏をして、遠馭長駕の機を得しむるを見、遂に策を決して、旧都に還れり。嗚呼、彼が遷都の英断も、かくの如くにして、空しく失敗に陥り了りぬ。 今や、平氏の危機は目睫の間に迫り来れり。維盛の征東軍、未一矢を交へざるに空しく富士川の水禽に驚いて走りしより、近江源氏、先響の如...
人及び芸術家としての薄田泣菫氏 薄田泣菫氏及び同令夫人に献ず - 芥川 竜之介
  • ...峰を登り、象徴主義の原野へ通じてゐる。薄田氏は予言者モオゼのやうにその原野の土を踏まなかつたかも知れない。けれども確に眼底には「夕くれなゐの明らみに黄金の岸」を見てゐたのである。予は今度「白羊宮(はくやうきう)」を読み、更にこの感を――三以下省略。       附録一 著作年表 (イ)人――薄田泣菫氏の明治三十年以来詩人、小説家、戯曲家等を作れるは枚挙すべからず。その主なるものは下の如し。(但しアイウエオ順)芥川龍之介。――(イ)以下省略。 (ロ)詩並びに散文。――明治二十九年或は三十年に雑誌「新著月刊」に「花密蔵難見」を発表す。明治三――(ロ)以下省略。       附録...
星座 - 有島 武郎
  • ...……大密林だった札幌原野の昔を語り伝えようとするもののごとく、黄ばんだ葉に鬱蒼(うっそう)と飾られて……園はこの樹を望みみると、それが経てきた年月の長さを思った。その年月の長さがひとりでにその樹に与えた威厳を思った。人間の歴史などからは受けることのできない底深い悲壮な感じに打たれた。感激した時の癖として、園はその樹を見るごとに、右手を鍵形に折り曲げて頭の上にさしかざし、二度三度物を打つように烈しく振り卸(お)ろすのだった。  その夕方も園は右手を振ろうとする衝動をどこかに感じたけれども、何かまたはばむものがあってそれをさせなかった。衝動はいたずらに内訌(ないこう)するばかりだった、彼は急いだ...
雪中行 小樽より釧路まで - 石川 啄木
  • ...茅舎を点綴した冬の大原野は、漫(そぞ)ろにまだ見ぬ露西亜の曠野を偲ばしめる。鉄の如き人生の苦痛と、熱火の如き革命の思想とを育て上げた、荒涼とも壮大とも云ひ様なき北欧の大自然は、幻の如く自分の目に浮んだ。不図したら、猟銃を肩にしたツルゲネーフが、人の好ささうな、髯の長い、巨人の如く背の高い露西亜の百姓と共に、此処いらを彷徨(うろつ)いて居はせぬかといふ様な心地がする。気がつくと、自分と向合つて腰かけて居る商人体の男が、金釦の外套を着た十二三の少年を二人伴れて居る。そして二人共悧巧さうな顔をして居る。自分は思はずチヨツと舌打をした。日本人はどうして恁(か)うせせこましい、万事に抜目のない様な、悧巧...


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