向け

 
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2010年01月13日 08:51:10
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2009年11月15日 16:31:36
2009年11月15日 16:46:53
2009年11月22日 15:40:57

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あばばばば - 芥川 竜之介
  • ...止めた。女は彼に背を向けたまま、こんなことを主人に尋ねてゐる。 「さつきね、あなた、ゼンマイ珈琲(コオヒイ)とかつてお客があつたんですがね、ゼンマイ珈琲つてあるんですか?」 「ゼンマイ珈琲?」  主人の声は細君にも客に対するやうな無愛想である。 「玄米珈琲の聞き違へだらう。」 「ゲンマイ珈琲? ああ、玄米から拵(こしら)へた珈琲。――何だか可笑(をか)しいと思つてゐた。ゼンマイつて八百屋(やほや)にあるものでせう?」  保吉は二人の後ろ姿を眺めた。同時に又天使の来てゐるのを感じた。天使はハムのぶら下つた天井のあたりを飛揚したまま、何にも知らぬ二人の上へ祝福を授けてゐるのに違ひない。...
馬の脚 - 芥川 竜之介
  • ...時、夫はくるりと背を向けたと思うと、静かに玄関をおりて行った。常子は最後の勇気を振い、必死に夫へ追い縋(すが)ろうとした。が、まだ一足(ひとあし)も出さぬうちに彼女の耳にはいったのは戞々(かつかつ)と蹄(ひづめ)の鳴る音である。常子は青い顔をしたまま、呼びとめる勇気も失ったようにじっと夫の後(うし)ろ姿を見つめた。それから、――玄関の落ち葉の中に昏々(こんこん)と正気(しょうき)を失ってしまった。……  常子はこの事件以来、夫の日記を信ずるようになった。しかしマネエジャア、同僚、山井博士、牟多口氏等(むだぐちしら)の人びとは未(いま)だに忍野半三郎(おしのはんざぶろう)の馬の脚になったことを...
海のほとり - 芥川 竜之介
  • ...(わらいがお)をふり向けて見せた。 「君もはいれよ。」 「僕は厭(いや)だ。」 「へん、『嫣然(えんぜん)』がいりゃはいるだろう。」 「莫迦(ばか)を言え。」 「嫣然」と言うのはここにいるうちに挨拶(あいさつ)ぐらいはし合うようになったある十五六の中学生だった。彼は格別美少年ではなかった。しかしどこか若木(わかぎ)に似た水々しさを具えた少年だった。ちょうど十日ばかり以前のある午後、僕等は海から上(あが)った体を熱い砂の上へ投げ出していた。そこへ彼も潮(しお)に濡れたなり、すたすた板子(いたご)を引きずって来た。が、ふと彼の足もとに僕等の転(ころ)がっているのを見ると、鮮(あざや)かに...
老いたる素戔嗚尊 - 芥川 竜之介
  • ... 彼は須世理姫に背を向けて、荒々しく門の内へはひつて行つた。さうして宮の階段(きざはし)を上りながら、忌々(いまいま)しさうに舌を打つた。 「何時ものおれなら口も利かずに、打ちのめしてやる所なのだが……」  須世理姫は彼の去つた後も、暫くは、暗く火照(ほて)つた空へ、涙ぐんだ眼を挙げてゐたが、やがて頭を垂れながら、悄然(せうぜん)と宮へ帰つて行つた。  その夜素戔嗚は何時までも、眠に就く事が出来なかつた。それは葦原醜男を殺した事が、何となく彼の心の底へ毒をさしたやうな気がするからであつた。 「おれは今までにもあの男を何度殺さうと思つたかわからない。しかしまだ今夜のやうに、妙な気のした事...
おしの - 芥川 竜之介
  • ...、くるりと神父に背を向けたと思うと、毒風(どくふう)を避ける人のようにさっさと堂外へ去ってしまった。瞠目(どうもく)した神父を残したまま。……… (大正十二年三月) 底本:「芥川龍之介全集5」ちくま文庫、筑摩書房    1987(昭和62)年2月24日第1刷発行    1995(平成7)年4月10日第6刷発行 底本の親本:「筑摩全集類聚版芥川龍之介全集」筑摩書房    1971(昭和46)年3月〜1971(昭和46)年11月 ※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。 入力:j.utiyama 校正:かとうかおり...

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