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2010年02月3日 21:21:42
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村からの娘 - 宮本 百合子
  • ...本質を理解するとき、改めて私共にうなずけるのである。  先頃新聞に、飢饉地方から出て来た娘さんの一人が、或る義侠心にとんだ若い大工さんの嫁に貰われ、幸福な新世帯をもったという記事が出た。丈夫そうに白い歯並をニコニコと見せ、股引に小肥りの膝をつつんで坐っている若い大工さんと一つ火鉢にさし向いに坐った花嫁さんが、さも恥しげに重い島田をうつぶしている姿を撮影した写真は、何十万人かの新聞読者の口元を思わずほころばせたであろうと思う。私は、この若い大工さん夫婦の姿に暖い優しい情愛を感じたのであったが、この実に万ガ一の好運にめぐりあった娘さんの身上は、更に何千人か飢えた田舎から東京に出ている娘さんの心に...
大菩薩峠 34 白雲の巻 - 中里 介山
  • ...面(めん)を脱いで、改めて絵師としての自分を証明しなければならない運命のほどを覚悟もしていたのですが、存外すらすらとパスして、岡っ引は立去ってしまったものですから、白雲も店へ払いと茶代とを置いて、ここを出ようとして、ちょっとひっかかりになったのは、道祖神からここまで持って来たあの絵馬です。  わざわざ持って来るほどのものではないが、捨てるのもなんだか心残りのようだから、ここまで持っては来たが、茂太郎ではあるまいし、これから先、どこまでも般若(はんにゃ)の絵馬と道行も変なもの。  そこで白雲は、このまま店へ置去りにしてここを出ました。  店を出ると名取川です。          四 ...
大菩薩峠 35 胆吹の巻 - 中里 介山
  • ...そんな無意味な断案を改めて米友から聞く必要はないのです。だが、相手を呼んで変人だという、この返答の主、すなわち宇治山田の米友がどれだけ常人に近いのだか、それを考えると多少はおかしくもなるのですが、これはこの返答の結論でも断案でもなくて、帰納(きのう)と演繹(えんえき)との論鋒を逆につかったものとして見れば、もう少し希望を残して聞いていないわけにはゆきません。 「うむ――変人だなあ、よっぽど変っているよ、あの娘もあれで、家はなかなか金持なんだという話だがなあ」  それもわかってる、お銀様の背景に、偉大なる財閥ではない財力の権威があるということは、不破の関以来、お雪ちゃんもとうに心得ていること...
或敵打の話 - 芥川 竜之介
  • ...かりではすまされぬ。改めて三本勝負を致されるか、それとも拙者が殿への申訳けに切腹しようか。」とまで激語した。家中の噂を聞き流していたのでは、甚太夫も武士が立たなかった。彼はすぐに三左衛門の意を帯して、改めて指南番|瀬沼兵衛(せぬまひょうえ)と三本勝負をしたいと云う願書(ねがいしょ)を出した。  日ならず二人は綱利の前で、晴れの仕合(しあい)をする事になった。始(はじめ)は甚太夫が兵衛の小手(こて)を打った。二度目は兵衛が甚太夫の面(めん)を打った。が、三度目にはまた甚太夫が、したたか兵衛の小手を打った。綱利は甚太夫を賞するために、五十|石(こく)の加増を命じた。兵衛は蚯蚓腫(みみずばれ)にな...
盈虚 - 中島 敦
  • ...比べて見て優れた方を改めて太子に定められては如何。若し不才だったなら、其の時は宝器だけを取上げられれば宜(よ)い訳だ。……  其の部屋の何処かに密偵が潜んでいたものらしい。慎重に人払いをした上での此の密談が其の儘太子の耳に入った。  次の朝、色を作(な)した太子疾が白刃を提げた五人の壮士を従えて父の居間へ闖入(ちんにゅう)する。太子の無礼を叱咤(しった)するどころではなく、荘公は唯色蒼ざめて戦(おのの)くばかりである。太子は従者に運ばせた牡豚を殺して父に盟(ちか)わしめ、太子としての己の位置を保証させ、さて渾良夫の如き奸臣はたちどころに誅(ちゅう)すべしと迫る。あの男には三度迄死罪を免ずる...


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