温泉旅館

 

温泉旅館 ( おんせんりょかん )     温泉旅館についてまとめて読む

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2009年10月16日 16:55:02
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伊香保 - 寺田 寅彦
  • ...合なら、せめて電話で温泉旅館組合の中の心當りを聞いてやる位の便宜をはかつてやつてはどうか。頼りにして來た客を、假令それがどんな人體であるにしても、尋ねてくるのが始めから間違つてゐるかのやうに取扱ふのは少し可哀相であらう。さうする位ならば「旅行案内」などの廣告にちやんと其旨を明記しておく方が親切であらう。  こんな敗者の繰言を少し貧血を起しかけた頭の中で繰返しながら狹い坂町を歩いてゐるうちに、思ひの外感じのいゝ新らしいM旅館別館の三階に、思ひもかけなかつた程に見晴らしの好い一室があいてゐるのを搜しあてゝ、それで漸く、暗くなりかゝつた機嫌を取直すことが出來たと同時に馴れぬ旅行に疲れた神經と肉體と...
大利根八十里を遡る - 野口 雨情
  • ...あるが、相当な設備の温泉旅館が数軒ある。私は田村旅館の三階から四万の全景を一眸の下に眺めてみた。吾妻川の支流は狭い谷川となつて旅館の前を流れてゐる。小さいながら川上には、小倉の滝、大泉の滝、日南見の滝等の名所がある。  夕霧は山をめぐつて、いつしか日は霧の中に暮れてしまつた。  丁度、その夜の丑満(うしみつ)頃である。やみをつんざいてけたたましいときの声が聞えた。ハテナと思ふ瞬間に、階上階下の廊側(らうがは)に右往左往するおびただしい足音も聞えて来た。私は『山賊の襲来』と直感して、すぐはね起きたのである。    四万温泉の丑の刻  丑満ごろに、闇をつんざいて聞えた鬨(とき)の声...
我が人生観 05 (五)国宝焼亡結構論 - 坂口 安吾
  • ...、箱根の谷のドン底の温泉旅館へ行った。  このへんは谷川といっても川の趣きではなくて、流れの全部が段をなした瀑布であり、四方にはホンモノの数百尺の飛瀑も落下している。音があると思う人には、これぐらいウルサクて頭痛の種のところもないかも知れないが、無神経の私には、こんなに音のないところはなかった。隣の話声も、帳場のラジオも、宴会室のドンチャン騒ぎも、蝉の声も、一切合財、きこえない。女中が唐紙をあけてはいってくるのが、跫音(あしおと)も、唐紙をあける音もきこえないから、忽然として、女中が現れている。忍術の要領である。文明国のどこを探しても、こんなに物音のないところはないのである。私はラジオの音が...
沓掛より - 寺田 寅彦
  • ...るのである。  H温泉旅館の前庭の丸い芝生(しばふ)の植え込みをめぐって電燈入りの地口行燈(じぐちあんどん)がともり、それを取り巻いて踊りの輪がめぐるのである。まだ宵(よい)のうちは帳場の蓄音機が人寄せの佐渡(さど)おけさを繰り返していると、ぽつぽつ付近の丘の上から別荘の人たちが見物に出かけて来る。はじめは小さな女の子など、それに帳場の若い人たちが加わって踊っているうちに、だんだんにおとなも加わって、いつとなしに踊りの輪が丸くつながる。そうしているうちに潮のさして来るように次第に興が乗り、次第次第に気合いがかかって来るのが、見ていてもおもしろいものである。  おかっぱに洋装の女の子もあれば...
『井伏鱒二選集』後記 - 太宰 治
  • ...ある。朝から晩まで、温泉旅館のヴェランダの籐椅子に腰掛けて、前方の山の紅葉を眺めてばかり暮すことの出来る人は、阿呆ではなかろうか。  何かしなければならぬ。  釣。  将棋。  そこに井伏さんの全霊が打ち込まれているのだかどうだか、それは私にもわからないが、しかし、旅の姿として最高のもののように思われる。金銭の浪費がないばかりでなく、情熱の浪費もそこにない。井伏さんの文学が十年一日の如く、その健在を保持して居る秘密の鍵(かぎ)も、その辺にあるらしく思われる。  旅行の上手な人は、生活に於ても絶対に敗れることは無い。謂わば、花札の「降(お)りかた」を知って居るのである。  旅行に於て...


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