練習曲

 

練習曲 ( れんしゅうきょく )     練習曲についてまとめて読む

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灰色の記憶 - 久坂 葉子
  • ...ィをつくってピアノの練習曲はおさらいしなかった。しかし、その我儘な振舞がかえってよかったのである。大人達は、私を天才的だと云った。私は、ますます調子にのって来た。そうして二年生に昇った頃、私は、恐しいことをするようになった。盗みである。充分に鉛筆やノートをあてがわれ、不自由するものは何一つなかったのに、私は盗むことに非常な快楽を発見した。私は、机を並べていた友達にそのことを訴え、忽ち仲間にしてしまった。私とその女の子は、毎日のように、文房具屋へ遊びにゆき、きれいな麦わらの箱や、小さな飾り花をとって来た。盗むということが悪いとは知らなかった。堂々とそれをみせびらかして英雄気取になっていた。小さい...
今度の出し物について - 岸田 国士
  • ...た。女優さんたちの「練習曲」としても相当歯ごたへのある、恰好なものであるし、これに男ばかりの舞台を一幕並べることにでもしたら、ちよつと変つた趣向ではあるまいかと、瞬間、興行師の頭になる。  ところが、次に、徳川夢声君といふ難物のために、稽古の便を計つて、小人数の一幕を考へねばならぬ段になり、ふと頭に浮んだのが、辰野氏の「父と子」である。これが偶然、誂へ向きの男ばかりとは、少々くすぐつたい次第であつた。  さて、もう一つは、小山祐士君の「魚族」であるが、これは、同作者の代表作「瀬戸内海の子供ら」の「妹」たるべき佳作で、みつちり稽古のし甲斐のあるものである。なにぶん登場人物が多く、その上、写実...
久野女史をいたむ - 兼常 清佐
  • ...リストの『パガニーニ練習曲』やタウジヒ改作のウェーベルやショパンのゾナーテなども試みたらしかった。その外まだ二、三の新しい譜を買って持っていた。しかし私がベルリンにいる間には、もちろん、どれもその緒についていなかった。また何に感じたか、ある時女史はスクリアビンのゾナーテ(多分第四番)を弾こうかと言った事もあった。私は冗談だと思った。またある時は女史は私にゲネラルバスと言うものはどうして弾くか、と聞いた。  その時私は女史がこのような事を知っているのを非常に喜んだ。私は真面目にヤーダスゾーンの教科書を貸した。そして、一体そんなような音楽上の事一般をベルリンで勉強したらよかろうと言った。後で見る...
練習曲 - 岸田 国士
  • 練習曲 岸田國士 ――おれはかうして雲を見てゐる。君はさうして新聞を読んでゐる。彼女は、こゝへ来て、どつちに先づ話しかけるだらう。 ――二五高女卒頗富愛嬌不幸無支度先方職不望温情有方至急。 ――あの下駄の音はあんまり落着いてるね。君は珈琲を飲むかい。 ――飲む。信用及商品持込家財其儘証人不要手軽月賦も可。 ――来たぞ、おい……。 ――長くお待ちになつて……? ――ねえ、××子さん、僕は今、あの空に、あなたの影が映りはしないかと……。 ――ちよつと……をかしいわ、そつちを向いて……。何か面白いことが出てますの。 底本:「岸田國士全集20」岩波書店
貸家探し - 林 芙美子
  • ...いって、どの窓からも練習曲が流れて来て、十二、三の子供たちの頭が沢山見える。  私は、角店になった大きな蕎麦(そば)屋へ這入った。蕎麦屋の中は黄昏でまだ灯火を入れていなかった。「いらっしゃアいッ」と大きな声でジャケツを着込んだ若い衆が迎えてくれたが、貸家や職を探して蕎麦屋に立寄る風景は、私の生活にたびたびあったように思えて、私は、自分の胸の中に、愕(おどろ)きとも淋しさとも苦笑ともつかないものを感じた。鍋焼(なべやき)を一つ頼んだ。熱い土鍋を両手ではさんで、かまぼこだの、ほうれん草だの、椎茸(しいたけ)だのを一つ一つ愉(たの)しみに喰べた。全くの孤独で、私は自分で自分に腹を立てたりしたが、が...


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