避難

 
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2009年12月27日 08:59:32
2009年12月23日 16:51:08
2009年12月19日 13:36:02
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鸚鵡 ――大震覚え書の一つ―― - 芥川 竜之介
  • ...孫娘の名を呼びつつ、避難民の間(あひだ)を探しまはる。日暮(にちぼ)。遂に松のかげに横はる。隣りは店員数人をつれたる株屋。空は火事の煙の為、どちらを見てもまつ赤(か)なり。鸚鵡、突然「ナアル」といふ。  翌日も丸の内一帯より日比谷|迄(まで)、孫娘を探しまはる。「人形町なり両国なりへ引つ返さうといふ気は出ませんでした」といふ。午(ひる)ごろより饑渇(きかつ)を覚ゆること切なり。やむを得ず日比谷の池の水を飲む。孫娘は遂に見つからず。夜は又丸の内の芝の上に横はる。鸚鵡の籠を枕べに置きつつ、人に盗(ぬす)まれはせぬかと思ふ。日比谷の池の家鴨(あひる)を食(く)らへる避難民を見たればなり。空にはなほ...
鵠沼雑記 - 芥川 竜之介
  • ...のゐる次の間(ま)へ避難してしまふ。      ×  僕はひとり散歩してゐるうちに歯医者の札(ふだ)を出した家を見つけた。が、二三日たつた後(のち)、妻とそこを通つて見ると、そんな家は見えなかつた。僕は「確かにあつた」と言ひ、妻は「確かになかつた」と言つた。それから妻の母に尋ねて見た。するとやはり「ありません」と言つた。しかし僕はどうしても、確かにあつたと思つてゐる。その札は齒と本字を書き、イシヤと片仮名(かたかな)を書いてあつたから、珍らしいだけでも見違へではない。(以上家を借りてから) (一五・七・二〇)〔遺稿〕 底本:「芥川龍之介全集第四巻」筑摩書房    ...
戯作三昧 - 芥川 竜之介
  • ...悟り」と「諦め」とに避難するには余りに情熱に溢れてゐる。  彼は机の前に身を横へた儘、親船の沈むのを見る、難破した船長の眼で、失敗した原稿を眺めながら、静に絶望の威力と戦ひつづけた。もしこの時、彼の後の襖(ふすま)が、けたたましく開放(あけはな)されなかつたら、さうして「お祖父(ぢい)様唯今。」と云ふ声と共に、柔かい小さな手が、彼の頸(くび)へ抱きつかなかつたら、彼は恐らくこの憂欝(いううつ)な気分の中に、何時までも鎖(とざ)されてゐた事であらう。が、孫の太郎は襖を開けるや否や、子供のみが持つてゐる大胆と率直とを以て、いきなり馬琴の膝の上へ勢よくとび上つた。 「お祖父様唯今。」 「おお、...
戯作三昧 - 芥川 竜之介
  • ...諦(あきら)め」とに避難するにはあまりに情熱に溢(あふ)れている。  彼は机の前に身を横たえたまま、親船の沈むのを見る、難破した船長の眼で、失敗した原稿を眺めながら、静かに絶望の威力と戦いつづけた。もしこの時、彼の後ろの襖(ふすま)が、けたたましく開け放されなかったら、そうして「お祖父様(じいさま)ただいま。」という声とともに、柔らかい小さな手が、彼の頸へ抱きつかなかったら、彼はおそらくこの憂欝(ゆううつ)な気分の中に、いつまでも鎖(とざ)されていたことであろう。が、孫の太郎は襖を開けるや否や、子供のみが持っている大胆と率直とをもって、いきなり馬琴の膝(ひざ)の上へ勢いよくとび上がった。 ...
袈裟と盛遠 - 芥川 竜之介
  • ...憤の後(うしろ)に、避難する事が出来たかも知れない。が、己にはどうしても、そうする余裕が作れなかった。まるで己の心もちを見透(みとお)しでもしたように、急に表情を変えたあの女が、じっと己の目を見つめた時、――己は正直に白状する。己が日と時刻とをきめて、渡を殺す約束を結ぶような羽目(はめ)に陥ったのは、完(まった)く万一己が承知しない場合に、袈裟が己に加えようとする復讐(ふくしゅう)の恐怖からだった。いや、今でも猶(なお)この恐怖は、執念深く己の心を捕えている。臆病だと哂(わら)う奴は、いくらでも哂うが好(い)い。それはあの時の袈裟を知らないもののする事だ。「己(おれ)が渡(わたる)を殺さないと...


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