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2010年02月2日 20:01:14
2009年12月18日 22:11:00
2010年01月31日 15:39:00
2009年05月26日 19:50:32
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点心 - 芥川 竜之介
  • 点心 芥川龍之介      御降(おさが)り  今日(けふ)は御降(おさが)りである。尤(もつと)も歳事記(さいじき)を検(しら)べて見たら、二日(ふつか)は御降りと云はぬかも知れぬ。が蓬莱(ほうらい)を飾つた二階にゐれば、やはり心もちは御降りである。下では赤ん坊が泣き続けてゐる。舌に腫物(はれもの)が出来たと云ふが、鵞口瘡(がこうそう)にでもならねば好(よ)い。ぢつと炬燵(こたつ)に当りながら、「つづらふみ」を読んでゐても、心は何時(いつ)かその泣き声にとられてゐる事が度々ある。私(わたし)の家は鶉居(じゆんきよ)ではない。娑婆(しやば)界の苦労は御降りの今日(けふ)も、遠
毛利先生 - 芥川 竜之介
  • 毛利先生 芥川龍之介  歳晩(さいばん)のある暮方、自分は友人の批評家と二人で、所謂(いわゆる)腰弁街道(こしべんかいどう)の、裸になった並樹の柳の下を、神田橋(かんだばし)の方へ歩いていた。自分たちの左右には、昔、島崎藤村(しまざきとうそん)が「もっと頭(かしら)をあげて歩け」と慷慨(こうがい)した、下級官吏らしい人々が、まだ漂(ただよ)っている黄昏(たそがれ)の光の中に、蹌踉(そうろう)たる歩みを運んで行く。期せずして、同じく憂鬱な心もちを、払いのけようとしても払いのけられなかったからであろう。自分たちは外套(がいとう)の肩をすり合せるようにして、心もち足を早めながら、大手町(
後世への最大遺物 - 内村 鑑三
  • 後世への最大遺物 内村鑑三      はしがき  この小冊子は、明治二十七年七月相州箱根駅において開設せられしキリスト教徒第六夏期学校において述べし余(よ)の講話を、同校委員諸子の承諾を得てここに印刷に附せしものなり。  事、キリスト教と学生とにかんすること多し、しかれどもまた多少一般の人生問題を論究せざるにあらず、これけだし余の親友京都便利堂主人がしいてこれを発刊せしゆえなるべし、読者の寛容を待つ。   明治三十年六月二十日 東京青山において 内 村 鑑 三      再版に附する序言  一篇のキリスト教的演説、別にこれを一書となすの必要なしと思
彫刻家の見たる美人 - 荻原 守衞
  • 彫刻家の見たる美人 荻原守衞  美人彫刻家として有名なのはまづ佛蘭西の、ゼロームを推さねばなるまいが、其彫刻は矢張り端麗とか、優美とかに重きを置いたクラシカルのもので、美人を其まゝ美人として現はしたものは希臘の昔に溯らねばならぬ。希臘には雄壯なることアポロのやうなものもあるが、又ミローや、メディスのヴィナス、デアナの如(や)うな美しい女神もある。  さて斯かる美人を彫刻せんには、藝術家は何ういふ態度に出づべきものであらうか。豫め自分の心の中に、こんな美人を拵へて見やうと考へて、それに類似したモデルを探してかかるのであらうか。此れが考を要するところである。成程其中には隨分こんな考で
餓鬼阿弥蘇生譚 - 折口 信夫
  • 餓鬼阿弥蘇生譚 折口信夫      一 餓鬼 世の中は推し移つて、小栗とも、照手とも、耳にすることがなくなつた。子どもの頃は、道頓堀の芝居で、年に二三度は必見かけたのが、小栗物の絵看板であつた。ところの若い衆の祭文と言へば、きまつて「照手車引き近江八景」の段がかたられたものである。芝居では、幾種類とある小栗物のどれにも「餓鬼阿弥」の出る舞台面は逃げて居た。祭文筋にも、餓鬼阿弥の姿は描写して居なかつた。私どもゝ、私より古い人たちも、餓鬼阿弥の姿を想ひ浮べる標準をば持たなかつたのである。合巻類には、二三、餓鬼阿弥の姿を描いたのもあるけれど、此も時々の、作者々々の創意のまじつてゐた

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