おいしい

 

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2009年12月22日 23:31:01
2009年11月15日 02:15:00
2009年10月20日 14:55:56
2010年01月15日 17:00:41
2010年02月2日 21:50:04

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「おいしい」を含む小説

美しき死の岸に - 原 民喜
  • ...置くと、 「ああ、おいしい」妻は寝たまま、まるで心の渇(かわ)きまで医(いや)されるように、それを素直にうけとる。佗しく暗い気分のなかに、ふと蜜柑の色だけが吻と明るく浮んでいるのだった。……だが、その翌日彼が街に出て処方箋どおり求めて来た散薬は、もう妻の口にまるで喜びを与えなかった。何かはっきりしないが、眼に見えて衰えてゆくものがあった。気疎(けうと)そうな顔つきで、妻はぼんやりと焦点のさだまらぬ眼つきをしている。あの弱々しい眼のなかから、パッと一つの明るいものが浮びあがったら……彼は電車の片隅(かたすみ)でぼんやりと思い耽(ふけ)っていた。  今にも降りだしそうな冷え冷えしたものは、その...
神鷺之巻 - 泉 鏡花
  • ...」 「ええ、冷い、おいしい、私は毎日のように飲んでいます。」  それだと毎日この祠(ほこら)へ。 「あ、あ。」  と、消えるように、息を引いて、 「おいしいこと、ああ、おいしい。」  唇も青澄んだように見える。 「うらやましいなあ。飲んだらこっちへ貸して下さい。」 「私が。」  とて、柄を手巾(ハンケチ)で拭(ふ)いたあとを、見入っていた。 「どうしました。」 「髪がこんなですから、毛が落ちているといけませんわ。」 「満々(なみなみ)と下さい。ありがたい、これは冷い。一気には舌が縮みますね。」  とぐっと飲み、 「甘露が五臓へ沁(し)みます。」  と清(すず)しく...
月夜 - 与謝野 晶子
  • ...がお作りになつたからおいしいのよ。」 「なんの、おまへ自身で作つて御覧、もつとおいしいよ。」  お幸はこの時ふと母の労力を無駄使(むだづか)ひをさせたと云ふやうな済まない気のすることを覚えました。 「私(わたし)が持つて行く。」  皮の載つた盆を下げようとする久吉をかう留めてお幸は自身で台所へ行きました。 「母さん、暗くて見えませんけれど、何かして置く用が此処にありませんか。」  お幸はやや大きい声でかう云ひました。 「姉さんは元気が出たね。」 と久吉が云ひました。 「何も用はないよ。」 「母さん、母さん、僕は云つてしまひますよ。姉さんはね、中村さんで晩の御飯を食べさせて貰...
母 - 太宰 治
  • ...もないが、そんなに、おいしいとは思わない。酔い心地も、結構でない。」 「しかし、いいのもありますよ。清酒とすこしも変らないのも、このごろ出来るようになったのです。」 「そうか。それがすなわち、地方文化の進歩というものなのかも知れない。」 「こんど、先生のところに持って来てもいいですか。先生は、飲んで下さいますか。」 「それは、飲んであげてもいい。地方文化の研究のためですからね。」  数日後に、その青年は、水筒にお酒をつめて持って来た。  私は飲んでみて、 「うまい。」  と言った。  清酒と同様に綺麗(きれい)に澄んでいて、清酒よりも更に濃い琥珀(こはく)色で、アルコール度も...
春の枯葉 - 太宰 治
  • ...なんて、僕はいちどもおいしいと思ったことが無いんです。 (しづ)(洗濯物を縁側にそっと置いて、自身も浅く縁側に腰をかけ)それはまあ。(鷹揚(おうよう)に笑って、それからしんみり)お母さんが亡くなって、もう何年になりますかしら。 (奥田)(べつに何の感慨も無げに)僕がここの小学校にはいったとしの夏に死んだのですから、もう二十年にもなります。 (しづ) もう、そんなになりますかねえ。わたくしどもも、お母さんのお葬式の時の事は、よく覚えていますよ。(洗濯物を一枚一枚畳みながら)いまの、あの、妹さんがお父さんに手をひかれて、よちよち歩いてお焼香(しょうこう)した時の姿が、まだどうしても忘れられま...


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