その他

 

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2009年05月27日 11:31:00
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大菩薩峠 32 弁信の巻 - 中里 介山
  • ...、姿見鏡、壁板、額、その他の器具は、粉微塵に砕かれて、その間に血に塗れた肉片が散乱していた。死体検査が済んで、死体を署へ運ばしめてから、部下のものは、捜査の手順として壊れた家具の組立てに取りかかったが、そればかりに一昼夜を要した程であった。  一方、探偵ブレスナンは、問題の箱を検査した。その箱も大部分壊れてしまっていたが、その中には小さな電池、銅線、火薬、弾丸をつめた瓦斯(ガス)管があって、箱の蓋を開くなり、電流が通じて火花を発し、火薬に燃え移るという仕掛けであることがわかった。  これらの物品の多くは、いずれもこれという特徴を持っていなかったが、ただ一つの捜索の手がかりとなるものは箱の包...
大菩薩峠 34 白雲の巻 - 中里 介山
  • ...)らに王羲之の書――その他の書道の余談に耽(ふけ)ることによって、夜もいたく更けたようです。  いつまでたっても話の興はつきないが、この辺で御辞退と白雲も気を利(き)かせると、廊下伝いの立派な客間へ白雲を案内させて、美しい夜具の中に、心置なき塒(ねぐら)を与えくれるもてなしぶりに、白雲もなんだか夢の国へでも来たような気持になって、うっとりと、その美しい夜具の中に身を置いてみると――王羲之を中心としての話に、あんまり身が入り過ぎて、他の多くのかんじんなことを、すっかり忘れ去ってしまっていたことに、我ながら苦笑いをしました。  そのうちの最初として、今晩たずねて来る口約束になっていた、あの名取...
大菩薩峠 39 京の夢おう坂の夢の巻 - 中里 介山
  • ...地図を書いた。河田はその他に、市内の色々な工場の地図を持っていた。それからY市の全図を拡げて「H・S」のところに赤い印をつけた。  ――水上署とは余程離れてるだろうか。  ――四……四町位でしょう。  ――四町ね?  ――悪いところに立ってるな。  石川が顔をあげた。  ――この市(まち)の水上はドウ猛だからな。  森本は工場について一通り説明した。――工場Aが製罐部で、罐胴をつくるボデイ・ラインと罐蓋をつくるトップ・ラインに分れている。ボデイの方は、ブリキを切断して、円く胴をつくり、蓋(ふた)をくっツけて締めつけ、それが空気が漏(も)れないか、どうかを調べる。切断機(スリッ...
百姓弥之助の話 01 第一冊 植民地の巻 - 中里 介山
  • ...を十棟ばかり建てて、その他は耕地に使用されている、小作に貸してあるのではない。  弥之助は感ずるところあって、万事農から出直さなければならないという観念の下に今これだけの地所と別に一町歩あまりの山林とを基礎として小農業の経営を試みてから、これでまだ二年目である。  弥之助はガラス窓を閉めて三階から降りると、もうあたりは黄昏(たそがれ)の色が流れていた。それから本館を出て赤塗の古風な門をくぐって、農舎の方へ行って見ると、そこで自家用の木炭製造の炭竈(すみがま)が調子よく煙を吐いていた。  やがて冬が来る、武蔵野の冬の空(から)ッ風は寒い。殊にここは植民地で吹きさらしだ。家にいる青年達にも防...
青年 - 森 鴎外
  • ...の批評だけであって、その他の事には殆ど全く容喙(ようかい)しないことになっている。大石自身はその二三人の中(うち)の一人なのである。飯が済むと、女中は片手に膳、片手に土瓶を持って起(た)ちながら、こう云った。 「お客様をお通し申しましょうか」 「うむ、来ても好(い)い」  返事はしても、女中の方を見もしない。随分そっけなくして、笑談(じょうだん)一つ言わないのに、女中は飽くまで丁寧にしている。それは大石が外の客の倍も附届(つけとどけ)をするからである。窓掛一件の時亭主が閉口して引っ込んだのも、同じわけで、大石は下宿料をきちんと払う。時々は面倒だから来月分も取って置いてくれいなんぞと云うこ...


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