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2009年12月24日 20:45:12
2009年11月3日 19:16:31
2009年11月2日 19:41:58
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鴉片 - 芥川 竜之介
  • ...体ここで物の割れる音なんかするわけがない。泥溜(どろだめ)の中で棺桶が嚔(くさめ)をする。――一枚の板が揺ぶられる。頑丈な釘がうちつけてあるのを恐しい音をさせて軋(きし)ませる。……」  これはポオの「Premature Burial」が大西洋の彼岸に伝へた幾多の反響の一つである。が、そんなことはどうでも好い。僕にちよつと面白かつたのは下に引用する一節である。―― 「ところで已(すで)に仏蘭西(フランス)の土地で阿片を造らうとして失敗をつづけ乍(なが)らさまざまに苦心した。東京(トンキン)から持つて来た罌粟(けし)の種子を死骸で肥えた墓地に植ゑて見ると思ひの外に成績がよくてその特徴を発揮さ...
心中 - 森 鴎外
  • ...。なんでも障子の紙かなんかの破れた処から吹き込むようだねえ。あの手水場(ちょうずば)の高い処にある小窓の障子かも知れないわ。表の手水場のは硝子(ガラス)戸だけれども、裏のは紙障子だわね。」 「そうでしょうか。いやあねえ。わたしもう手水なんか我慢して、二階へ帰って寝ようかしら。」 「馬鹿な事をお言いでない。わたしそんなお附合いなんか御免だわ。帰りたけりゃあ、花ちゃんひとりでお帰り。」 「ひとりではこわいから、そんなら一しょに行ってよ。」  二人は又歩き出した。一足歩くごとに、ひゅうひゅうと云う音が心持近くなるようである。障子の穴に当たる風の音だろうとは、二人共思っているが、なんとなく変な...
かめれおん日記 - 中島 敦
  • ...どうして。少しもよくなんかなりはしない。)私はこの馬鹿げた企てに成功した。本當の睡眠も本當の覺醒も私からは失はれた。私の精神はもはや再び働く力を失ひ、完全に眠り・淀み・腐つた。精神の罐詰、腐つた罐詰、木乃伊、化石。  之以上完全な輝かしい成功があらうか。           三  昨夜就寢する頃から少し胸苦しかつたが、夜半果して例の發作に襲はれて、起上る。アドレナリン一本をうち、朝迄床上に坐つてゐる。呼吸困難は稍※をさまつたが、頭痛甚だし。朝になつて未だ不安なので、エフェドリン八錠服用。朝食は攝らず。息苦しきため横臥する能はず。終日椅子に掛け机に凭り、カメレオンの籠を前に、頬杖を...
悟浄歎異 沙門悟浄の手記 - 中島 敦
  • ...だぜ。今のお前の場合なんか、明らかにそうだからな。  悟空によれば、変化(へんげ)の法とは次のごときものである。すなわち、あるものになりたいという気持が、この上なく純粋に、この上なく強烈であれば、ついにはそのものになれる。なれないのは、まだその気持がそこまで至っていないからだ。法術の修行とは、かくのごとく己(おのれ)の気持を純一|無垢(むく)、かつ強烈なものに統一する法を学ぶに在(あ)る。この修行は、かなりむずかしいものには違いないが、いったんその境に達したのちは、もはや以前のような大努力を必要とせず、ただ心をその形に置くことによって容易に目的を達しうる。これは、他の諸芸におけると同...
弟子 - 中島 敦
  • ...してみたあげくの幸福なんかでは承知出来ない。誰が見ても文句の無い・はっきりした形の善報が義人の上に来るのでなくては、どうしても面白くないのである。  天についてのこの不満を、彼は何よりも師の運命について感じる。ほとんど人間とは思えないこの大才、大徳が、なぜこうした不遇(ふぐう)に甘んじなければならぬのか。家庭的にも恵(めぐ)まれず、年老いてから放浪の旅に出なければならぬような不運が、どうしてこの人を待たねばならぬのか。一夜、「鳳鳥(ほうちょう)至らず。河、図(と)を出さず。已(や)んぬるかな。」と独言に孔子が呟(つぶや)くのを聞いた時、子路は思わず涙(なみだ)の溢(あふ)れて来るのを禁じ得な...


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