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2009年12月2日 03:30:58
2009年11月6日 19:31:03
2009年11月14日 10:46:05
2009年12月3日 17:36:20
2009年12月15日 23:56:07

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備忘録 - 寺田 寅彦
  • ...(さしみ)の幾片かのイメージがこの詩人の午後の半日の精神生活の上に投げた影はわれわれがその文字の表面から軽々に読過するほどに希薄なものではなく、卑近なものでもなかったであろう。  この病詩人を慰めるためにいろいろのものを贈って来ていた人々の心持ちの中にもさまざまな複雑な心理が読み取られる。頭の鋭い子規はそれに無感覚ではなかったろう。しかし子規は習慣の力でいろいろの人からいろいろのものをもらうのをあたかも当然の権利ででもあるかのようにきわめて事務的に記載している。この事務的散文的記事の紙背には涙がある。  頭が変になって「サアタマランサアタマラン」「ドーシヨウドーシヨウ」と連呼し始めるところ...
永遠のみどり - 原 民喜
  • ...姿は、あの家の最後のイメージとして彼の目に残つてゐる。それから壊滅後一ヶ月あまりして、はじめてこの辺にやつて来てみると、一めんの燃えがらのなかに、赤く錆びた金庫が突立つてゐて、その脇に木の立札が立つてゐた。これもまだ刻明に目に残つてゐる。それから、彼が東京からはじめてこの新築の家へ訪ねた時も、その頃はまだ人家も疎らで残骸はあちこちに眺められた。その頃からくらべると、今この辺は見違へるほど街らしくなつてゐるのだつた。  午后、ペンクラブの到着を迎へるため広島駅に行くと、降車口には街の出迎へらしい人々が大勢集つてゐた。が、やがて汽車が着くと、人々はみんな駅長室の方へ行きだした。彼も人々について、...
永遠のみどり - 原 民喜
  • ...姿は、あの家の最後のイメージとして彼の目に残っている。それから壊滅後一カ月あまりして、はじめてこの辺にやって来てみると、一めんの燃えがらのなかに、赤く錆(さ)びた金庫が突立っていて、その脇(わき)に木の立札が立っていた。これもまだ克明に目に残っている。それから、彼が東京からはじめてこの新築の家へ訪ねた時も、その頃はまだ人家も疎(まば)らで残骸(ざんがい)はあちこちに眺(なが)められた。その頃からくらべると、今この辺は見違えるほど街らしくなっているのだった。  午後、ペンクラブの到着を迎えるため広島駅に行くと、降車口には街の出迎えらしい人々が大勢集っていた。が、やがて汽車が着くと、人々はみんな...
苦しく美しき夏 - 原 民喜
  • ...脳裏を掠(かす)めたイメージは絶えず何処(どこ)かの空間に実在しているようにおもえた。と同時にそれは彼自身の広漠(こうばく)として心をそそる遠い過去の生前の記憶とも重なり合っていた。あの何か鏡のようにひっそりとした空で美しく燃え狂っている光の帯は、もしかするとあの頂点の方に総(すべ)てはあって、それを見上げている彼自身は儚(はかな)い影ではなかろうか。……これを見せてやろう、ふと彼は妻の姿を求めて、露次の外の窓から家のなかを覗(のぞ)き込んだ。妻は縁側の静臥椅子(せいがいす)に横臥した儘(まま)、ぼんやりと向側の軒の方の空を眺(なが)めていた。それは衰えてゆく外の光線に、あたかも彼女自身の体温...
戯曲二十五篇を読まされた話 - 岸田 国士
  • ...せて、断片的な幻象(イメージ)の交錯を企図し、そこからコンチエルトに見る効果を心理的に誘致しようとした作者の野心は、僕の尊敬おく能はざるところであるが、その幻象の、その心理的ノートの不統一と不確かさとが、惜むらくは、全篇の印象を支離滅裂なものにしてゐるやうである。僕の見るところでは、作者は、第一に言葉の選択を誤つてゐる。その言ひ方がわるければ、言葉そのものの好悪にとらはれ過ぎて魂の声に耳を傾けることを忘れたらしい。それがために、人物それ/″\の色彩から「絵画的リズム」をさへ引だすことができなかつた。この種の舞台に、それを欠くことは致命的な痛手である。作者は、恐らく、人物の幾人かをして故(ことさ...


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