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2010年01月8日 03:42:02
2010年01月8日 05:20:00
2010年01月21日 00:12:01
2010年01月28日 23:02:48
2010年01月28日 23:07:45

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地図にない島 - 蘭 郁二郎
  • ...い。彼は一つの見本(サンプル)として連れて来られたのだ。  中野は、夢中で逃げようとした。パッと身をかわしたつもりだったが、それよりも早く、禿頭の医者にぐいと右手を執(と)られてしまった。 「あっ――」  と思ったのは、掴(つか)まれたばかりではなく、その上、チクリと針を刺されたような痛みを感じたからである。  と、同時に、急に体の力が抜けてしまった。余程強い薬を注(さ)されたらしい。  中野は、朦朧(もうろう)とした意識の中で、自分が台の上に運ばれ、まるで死面(デスマスク)をとられるように、顔一面に何かを押しつけられたのを、ふわふわと憶えていたが……。           × ...
広場 - 宮本 百合子
  • ...子は客として、何かのサンプルのようにして、この愛する都の生活に寄食するには、あまりにもここの本当の姿を知っていすぎるし、自分の仕事を愛してもいるのだった。  或る晩、朝子は灯を消してからも永いこと眠らず、考えに耽っていた。カーテンのない大きい窓からは二重ガラス越しにすぐ前の新聞社の建物の屋上が見えていて、正面のイルミネーションの余光がぼんやり夜空を赤くしているのが寝台からも見える。室内の家具はその不確な外光をうけて、黒くうずくまっている。  三年前ここへ二人が着いたばかりの夜も、カーテンのない窓から、朝子は永いことそとを眺めていた。あのときはこの新聞社の建物の巨大なガラス張りの円天井が廃墟...
読書法 - 戸坂 潤
  • ...ヴュー」というもののサンプルの若干を示すことは出来たかも知れない。「読書法日記」とか「論議」とか「ブック・レヴュー」とか「書評」とかいう類別が、夫々サンプルであり、そうしたサンプルを集めたこの本は、云わばカタローグみたいなものでもあろう。ただ大抵のサンプルは実物よりも良くて他処行きに出来ているものであるが、このサンプルだけは、云わば実物よりも劣っているように思う。つまりブック・レヴューの外交であるこの筆者が、相当の犠牲者である所以である。 「読書法日記」は『日本学芸新聞』にその名で連載したものであり、「ブック・レヴュー」は『唯物論研究』の同欄に載せたものである。「書評」は主に新聞や雑誌に所謂...
虚構の春 - 太宰 治
  • ...お、挿絵(さしえ)のサンプルとして、三画伯の花鳥図同封、御撰定のうえ、大体の図柄御指示下されば、幸甚に存上候。」  月日。 「前略。ゆるし玉(たま)え。新聞きり抜き、お送りいたします。なぜ、こんなものを、切り抜いて置いたのか、私自身にも判明せず。今夜、フランス製、百にちかい青蛙(あおがえる)あそんでいる模様の、紅とみどりの絹笠かぶせた電気スタンドを、十二円すこしで買いました。書斎の机上に飾り、ひさしぶりの読書したくなって、机のまえに正坐し、まず机の引き出しを整理し、さいころが出て来たので、二、三度、いや、正確に三度、机のうえでころがしてみて、それから、片方に白いふさふさの羽毛を附したる...
踊る地平線 07 血と砂の接吻 - 谷 譲次
  • ...こういう手段で見本(サンプル)に示すに過ぎない。だから、これにへこたれて通勤を止(よ)しちまった男(セニョル)は直ぐ駄目になるわけだが、来る夜もくる夜も根気よく窓の下に立っていると、お前、こんどのは割りに長つづきするじゃないか、なんかとまず、女の両親、ことに母者人(ははじゃびと)が呆(あき)れ半分に感心し、男(セニョル)の誠実|相解(あいわか)った! と古風に手を打ったりして、あとはすらすらと事が運び、間もなく神の意思に花が咲くといった経路だ。どうも廻りくどいが未(いま)だにやってる。私もいつか、セルヴァンテスの家を探してあるきまわった晩なんか、くらい横町にあちこち窓を見上げて立っている青年を...


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