兎に角

 

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2009年11月25日 21:10:48
2009年11月17日 20:20:00
2009年11月15日 13:06:22
2009年12月31日 13:36:09
2009年12月3日 14:11:07

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あの頃の自分の事 - 芥川 竜之介
  • ...を失つてしまつたが、兎に角それが彼自身の美的要求には合してゐても、他人の実際的要求と矛盾し得る事を発見したのは、正にこの言語学の講義を聞いてゐた時間である。しかし幸(さいはひ)、その講義を聴かうと云ふ、自分の実際的要求がそれ程痛切でなかつたから、髪の毛が邪魔になつた所だけは、ノオトをとらずに捨てて置いた。その中には邪魔にならない所でも、ノオトの代りに画を描く事にした。処が向うに坐つてゐる、何とか云ふ恐しくハイカラな学生の横顔を、半分がた描いた処で運悪く鐘が鳴つた。講義の終を知らせると同時に、午(ひる)になつた事を知らせる鐘である。  我々は一しよに大学前の一白舎(いつぱくしや)の二階へ行つて...
侠客の種類 - 幸田 露伴
  • ...方的関係もあらうが、兎に角初期の侠客の面目は解つて居らぬ。多少雑劇などに残つてる計りで、今日からは精確の状態は知り難いのである。  然るに天明以後に顕はれる博徒の事蹟になると、之は多少明白になつて来る。殊に講釈師の飯の種になつて居る博徒は最も多く関東に居り、関東でも甲州、上州、野州、常州などいふ国は、侠客や博徒の名に連れて必ず呼び出されるのは余程面白いことである。之には一つの理由のあることで、博徒の非常に横行する処には必らず有名な山がある。常陸には筑波山、上総には鹿野山、上州には榛名、赤城、野州には日光、甲州には山が到る処にある。而して此等の山の上には山神のあるのみではない、山に相当した駅場...
或旧友へ送る手記 - 芥川 竜之介
  • ...は数箇月準備した後、兎に角或自信に到達した。(それ等の細部に亘(わた)ることは僕に好意を持つてゐる人々の為に書くわけには行かない。尤(もつと)もここに書いたにしろ、法律上の自殺|幇助罪(ほうじよざい)※このくらゐ滑稽な罪名はない。若しこの法律を適用すれば、どの位犯罪人の数を殖(ふ)やすことであらう。薬局や銃砲店や剃刀屋(かみそりや)はたとひ「知らない」と言つたにもせよ、我々人間の言葉や表情に我々の意志の現れる限り、多少の嫌疑を受けなければならぬ。のみならず社会や法律はそれ等自身自殺幇助罪を構成してゐる。最後にこの犯罪人たちは大抵は如何にもの優しい心臓を持つてゐることであらう。※を構成しないこと...
寿阿弥の手紙 - 森 鴎外
  • ...遺憾とすべきである。兎に角一たび往つて見ようと云ふのである。  雨の日である。わたくしは意を決して車を命じた。そして小石川傳通院の門外にある昌林院(しやうりんゐん)へ往つた。  住持の僧は來意を聞いて答へた。昌林院の墓地は數年前に撤して、墓石の一部は傳通院の門内へ移し入れ、他の一部は洲崎へ送つた。壽阿彌の墓は前者の中にある。しかし柵(さく)が結(ゆ)つて錠が卸してあるから、雨中に詣(まう)づることは難儀である。幸に當院には位牌(ゐはい)があつて、これに記した文字は墓表と同じであるから佛壇へ案内して進ぜようと答へた。  わたくしは問うた。「柵が結つてあると仰(おつし)やるのは、壽阿彌一人の...
闇中問答 - 芥川 竜之介
  • ... 或声 (暫く無言)兎に角お前は苦しんでゐる。それだけは認めてやつても善(い)い。 僕 いや、うつかり買ひ冠(かぶ)るな。僕は或は苦しんでゐることに誇りを持つてゐるかも知れない。のみならず「得れば失ふを惧(おそ)る」は多力者のすることではないだらう。 或声 お前は或は正直者かも知れない。しかし又或は道化者(だうけもの)かも知れない。 僕 僕も亦どちらかと思つてゐる。 或声 お前はいつもお前自身を現実主義者と信じてゐた。 僕 僕はそれほど理想主義者だつたのだ。 或声 お前は或は滅びるかも知れない。 僕 しかし僕を造つたものは第二の僕を造るだらう。 或声 では勝手に苦しむが善(い)...

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