初節句

 

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2009年11月14日 13:25:00

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竜舌蘭 - 寺田 寅彦
  • ...日|義雄(よしお)の初節句の祝いをしますから皆さんおいでくださるようにとチョン髷(まげ)の兼作爺(かねさくじい)が案内に来て、その時にもらった紅白の餅(もち)が大きかった事も覚えている。いよいよその日となって、母上と自分と二人で、車で出かけた。おりからの雨で車の中は窮屈であった。自分の住まっている町から一里半余、石ころの田舎道(いなかみち)をゆられながらやっとねえさんの宅(うち)へ着いた。門の小流れの菖蒲(しょうぶ)も雨にしおれている。もうおおぜい客が来ていて母上は一人一人にねんごろに一別以来の辞儀をせられる。自分はその後ろに小さくなって手持ちぶさたでいると、おりよくここの俊ちゃんが出て来て、...
田園雑感 - 寺田 寅彦
  • ...えある。  子供の初節句、結婚の披露(ひろう)、還暦の祝い、そういう機会はすべて村のバッカスにささげられる。そうしなければその土地には住んでいられないのである。  そういう家に不幸のあった時には村じゅうの人が寄り集まって万端の世話をする。世話人があまりおおぜいであるために事務はかえって渋滞する場合もある。そして最後にはやはり酒が出なければ収まらない。  ある豪家の老人が死んだ葬式の晩に、ある男は十二分の酒を飲んで帰る途中の田んぼ道で、連れの男の首玉にかじりついて、今夜ぐらい愉快に飲んだ事は近来にないという事をなんべんもなんべんも繰り返しながらよろけ歩いていた。これなどは最も徹底的な一例で...


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