思い出

 

思い出 ( おもいで )     思い出についてまとめて読む

甘くて苦くて、ちょっぴり切なかったりするもの。

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2009年05月24日 15:36:02
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大菩薩峠 32 弁信の巻 - 中里 介山
  • ...したことのあることを思い出した。クレチュカもやはりヘンリーと同じ製図部に勤めていたが、あの虫も殺さぬような顔をしているヘンリーの仕業とは夢にも思わなかったと語った。  こうしてヘンリーに対する証拠は段々(だんだん)集って来た。そこで探偵は更に一歩を進めて、ヘンリーとウォーカーとの関係を調べた。その結果、ヘンリーはウォーカーの家にしばしば出入りしたことがわかり、且つ、ヘンリーは臆病どころか、随分大胆な、常軌を逸したことをするので、「きじるしのヘンリー」と綽名されていることさえもわかった。なおよく調べて見ると、彼は、前に書いた十五歳の少女ヴァイオレットと馴染(なじみ)であって、彼女が感化院へ送ら...
大菩薩峠 35 胆吹の巻 - 中里 介山
  • ...に高く舞い上っては、思い出したように直下して来るかと思えば輪なりになって舞っている、その挙動が何となしに尋常でないことを想わせられてなりません。  右の大鷲は、いったん胆吹のとまり所へついたが、何をか見つけたものだから、また飛び戻って来たのだ、何かこの下の平原で見つけものをしたものだから、それを捕りに来たものらしい。  お雪ちゃんはそう思って鳥の挙動を見守ると、全く物狂わしいように横転、逆転、旋回、飛上、飛下を試みているのが、いよいよ只事とは思われないのです。  恐ろしい鳥、鳥の中での王――あの勢いで人間をさえ攫(さら)って行くことがある。何をあの鳥が地上に見つけ出したのだろう、覘(ねら...
或敵打の話 - 芥川 竜之介
  • ...今生(こんじょう)の思い出には、兵衛の容態(ようだい)が承(うけたまわ)りとうござる。兵衛はまだ存命でござるか。」と云った。喜三郎はすでに泣いていた。蘭袋もこの言葉を聞いた時には、涙が抑えられないようであった。しかし彼は膝を進ませると、病人の耳へ口をつけるようにして、「御安心めされい。兵衛殿の臨終は、今朝(こんちょう)寅(とら)の上刻(じょうこく)に、愚老確かに見届け申した。」と云った。甚太夫の顔には微笑が浮んだ。それと同時に窶(やつ)れた頬(ほお)へ、冷たく涙の痕(あと)が見えた。「兵衛――兵衛は冥加(みょうが)な奴でござる。」――甚太夫は口惜(くちお)しそうに呟(つぶや)いたまま、蘭袋に礼...
或日の大石内蔵助 - 芥川 竜之介
  • ...ほうらつ)の記憶を、思い出すともなく思い出した。それは、彼にとっては、不思議なほど色彩の鮮(あざやか)な記憶である。彼はその思い出の中に、長蝋燭(ながろうそく)の光を見、伽羅(きゃら)の油の匂を嗅ぎ、加賀節(かがぶし)の三味線の音(ね)を聞いた。いや、今十内が云った里げしきの「さすが涙のばらばら袖に、こぼれて袖に、露のよすがのうきつとめ」と云う文句さえ、春宮(しゅんきゅう)の中からぬけ出したような、夕霧や浮橋のなまめかしい姿と共に、歴々と心中に浮んで来た。如何に彼は、この記憶の中に出没するあらゆる放埓の生活を、思い切って受用した事であろう。そうしてまた、如何に彼は、その放埓の生活の中に、復讐の...
或恋愛小説 - 芥川 竜之介
  • ...のち)も、時々達雄を思い出すのですね。のみならずしまいには夫よりも実は達雄を愛していたと考えるようになるのですね。好(い)いですか? 妙子を囲んでいるのは寂しい漢口(ハンカオ)の風景ですよ。あの唐(とう)の崔※(さいこう)の詩に「晴川歴歴(せいせんれきれき)漢陽樹(かんようじゅ) 芳草萋萋(ほうそうせいせい)鸚鵡洲(おうむしゅう)」と歌われたことのある風景ですよ。妙子はとうとうもう一度、――一年ばかりたった後(のち)ですが、――達雄へ手紙をやるのです。「わたしはあなたを愛していた。今でもあなたを愛している。どうか自(みずか)ら欺(あざむ)いていたわたしを可哀(かわい)そうに思って下さい。」――...


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