思慮分別

 

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2009年10月24日 06:36:15

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「思慮分別」を含む小説

善の研究 - 西田 幾多郎
  • ...るから、毫(ごう)も思慮分別を加えない、真に経験其儘の状態をいうのである。たとえば、色を見、音を聞く刹那(せつな)、未だこれが外物の作用であるとか、我がこれを感じているとかいうような考のないのみならず、この色、この音は何であるという判断すら加わらない前をいうのである。それで純粋経験は直接経験と同一である。自己の意識状態を直下に経験した時、未だ主もなく客もない、知識とその対象とが全く合一している。これが経験の最醇なる者である。勿論、普通には経験という語の意義が明(あきらか)に定まっておらず、ヴントの如きは経験に基づいて推理せられたる知識をも間接経験と名づけ、物理学、化学などを間接経験の学と称して...
旅行の今昔 - 幸田 露伴
  • ...日本内地は最早何等の思慮分別をも要せぬほどに開けてまいりました。で、鉄道や汽船の勢力が如何なる海陬山村にも文明の威光を伝える為に、旅客は何の苦なしに懐手で家を飛出して、そして鼻歌で帰って来られるようになりました。其の代りに、つい二三十年前のような詩的の旅行は自然(おのず)と無くなったと申して宜しい、イヤ仕様といっても出来なくなったのであります。  汽車の上り下りには赤帽が世話をする、車中では給仕が世話をする、食堂車がある、寝台車がある、宿屋の手代は停車場に出迎えて居る、と言ったような時世になったのですから、今の中等人士は昔時(むかし)の御大名同様に人の手から手へ渡って行って、ひどく大切(だい...
連環記 - 幸田 露伴
  • ...忙(きぜわ)しさに、思慮分別の暇(いとま)も無く、よしよし、さらば此の石帯を貸さんほどに疾(と)く疾く主人(あるじ)が方(かた)にもて行け、と保胤は我が着けた石帯を解きてするすると引出して女に与えた。女は仏|菩薩(ぼさつ)に会った心地して、掌(て)をすり合せて礼拝し、悦(よろこ)び勇んで、いそいそと忽(たちま)ち走り去ってしまった。保胤は人の急を救い得たのでホッと一安心したが、ア、今度は自分が石帯無し、石帯無しでは出るところへ出られぬ。  いかに仏心仙骨の保胤でも、我ながら、我がおぞましいことをして退けたのには今さら困(こう)じたことであろう。さて片隅に帯もなくて隠れ居たりけるほどに、と今鏡...
外套 - ゴーゴリ ニコライ
  • ...けた内輪話でもできる思慮分別のある親友とでも話しているように、ざっくばらんに自問自答をやりはじめたものである。【いや、駄目だよ】と、アカーキイ・アカーキエウィッチは言った。【今、ペトローヴィッチとかれこれ話してみたところで始まらんわい。やっこさん、今はその……きっと、どうかして、あの女房にぶん殴られでもしたのに違いないて。こりゃあやっぱり、日曜日の朝にでもやっこさんとこへ出かけたほうがよさそうだ。そうすれば、前日の土曜のあくる日だから、先生、眼をどろんとして寝ぼけ面をしているだろう。そこでやっこさん、迎え酒がやりたくってやりたくってたまらないのだが、女房が金を渡さぬ。そんな時に、おれが十カペイ...
土 - 長塚 節
  • ...忙(きぜわ)しさに、思慮分別の暇(いとま)も無く、よしよし、さらば此の石帯を貸さんほどに疾(と)く疾く主人(あるじ)が方(かた)にもて行け、と保胤は我が着けた石帯を解きてするすると引出して女に与えた。女は仏|菩薩(ぼさつ)に会った心地して、掌(て)をすり合せて礼拝し、悦(よろこ)び勇んで、いそいそと忽(たちま)ち走り去ってしまった。保胤は人の急を救い得たのでホッと一安心したが、ア、今度は自分が石帯無し、石帯無しでは出るところへ出られぬ。  いかに仏心仙骨の保胤でも、我ながら、我がおぞましいことをして退けたのには今さら困(こう)じたことであろう。さて片隅に帯もなくて隠れ居たりけるほどに、と今鏡...

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