溢れる

 

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2010年01月12日 01:28:06
2010年01月27日 13:30:04
2010年01月22日 14:21:30
2009年12月8日 22:09:59
2009年12月21日 05:20:29

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永遠のみどり - 原 民喜
  • ...ゐる。なみなみと満ち溢れる明るいものが頻りに感じられるのだつた。  彼が日に一度はそこを通る樹木の多い路は、日毎に春らしく移りかはつてゐた。枝についた新芽にそそぐ陽の光を見ただけでも、それは酒のやうに彼を酔はせた。最も微妙な音楽がそこから溢れでるやうな気持がした。 とおうい とおうい あまぎりいいす 朝がふたたび みどり色にそまり ふくらんでゆく蕾のぐらすに やさしげな予感がうつつてはゐないか 少年の胸には 朝ごとに窓窓がひらかれた その窓からのぞいてゐる 遠い私よ  これは二年前、彼が広島に行つたとき、何気なくノートに書きしるしておいたものである。郷愁が彼の心を噛んだ...
註釈与謝野寛全集 - 与謝野 晶子
  • ...心もち横に傾いて居て溢れると云ふ聯想が起つたのであらう。然(し)かもこれは象徴歌で、向日葵は恋を云ひ、静かな青玉の壺に自己の心境を托したものなのである。中年の落ちついた男の恋と盛んな女の恋の形である。 天つ日が四月の昼に見る夢か武庫(むこ)の高原(たかはら)つつじ花咲く  空の太陽が陽春四月の昼に見て居る夢が是れなのであらうかと思つた。この躑躅(つつじ)の盛りを見る所は六甲山の高原であると云ふのであつて、躑躅は白などではなく臙脂と樺色であつたのであらう。六甲山はむこやまの当字(あてじ)に最初書かれたのが漢字読みの山の名になつて居るのである。頂上に近く石がちに原をなして居る物は灌木で...
小景 ふるき市街の回想 - 宮本 百合子
  • ...るのであった。  溢れるような日光が硝子や招牌、旗などの上に漲っているのを一方に眺めながら、身は薄らつめたい、堅い、日かげの鋪道を歩いて行く心持よさは、何に例えよう。  私は、心持がすがすがしければすがすがしい程、先をせかなかった。  ずらりと並んだ商店の飾窓から二三尺の距離を保って、森の中でも散歩するような暢やかさで、眺め眺め進む。  余り奇麗な布地でもあると、私は呉服屋の前に立った。  異国風な豊麗さで細々化粧品や装身具などを飾った窓に来かかると、私は、堪能するまで其等の一つ一つを眺める。  本屋の前に出ると、私の眼には、微に意志の光めいたものが浮んだ。表の新着書籍を見わたし終...
鬼涙村 - 牧野 信一
  • ...底へ滲んだ。倉一杯に溢れる醇々たる酒の靄は、享ければあはや潸々として滴らんばかりの味覚に充ち澱んでゐた。――鶏小屋の傍らでは御面師が切りと両腕を拡げて腹一杯の深呼吸を繰返してゐた。彼も「酒の酔」を醒さうとして体操に余念がないのだ。――万豊が地団太を踏みながら引返してゆく後姿が栗林の中で斑らな光を浴びてゐた。線路の堤に、音鬼、赤鬼、天狗、狐、ひよつとこ、将軍などの矮人連が並んで勝鬨を挙げてゐた。――もともとそれらは私達がつくつた成人(おとな)用の御面なので、五体にくらべて顔ばかりが大変に不釣合なのが奇抜に映つた。音頭大会の日取は未だ決らないが、出場者の多くは面をかむらうといふことになつて、日々に...
第二菎蒻本 - 泉 鏡花
  • ...した。  血はまだ溢れる、音なき雪のように、ぼたぼたと鳴って留(や)まぬ。  カーンと仏壇のりんが響いた。 「旦那様、旦那様。」 「あ。」  と顔を上げると、誰も居ない。炬燵の上に水仙が落ちて、花活(はないけ)の水が点滴(したた)る。  俊吉は、駈下(かけお)りた。  遠慮して段の下に立った女中が驚きながら、 「あれ、まあ、お銚子がつきましてございますが。」  俊吉は呼吸(いき)がはずんで、 「せ、せ、折角だっけ、……客は帰ったよ。」  と見ると、仏壇に灯(あかり)が点(つ)いて、老人(としより)が殊勝に坐って、御法(みのり)の声。 「……我常住於此(がじょうじゅうおし...

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