絵師

 

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2009年05月26日 15:25:56
2009年05月25日 06:00:29
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地獄変 - 芥川 竜之介
  • ...と申された位、高名な絵師でございます。あの時の事がございました時には、彼是もう五十の阪(さか)に、手がとゞいて居りましたらうか。見た所は唯、背の低い、骨と皮ばかりに痩せた、意地の悪さうな老人でございました。それが大殿様の御邸へ参ります時には、よく丁字染(ちやうじぞめ)の狩衣(かりぎぬ)に揉烏帽子(もみゑぼし)をかけて居りましたが、人がらは至つて卑しい方で、何故か年よりらしくもなく、唇の目立つて赤いのが、その上に又気味の悪い、如何にも獣めいた心もちを起させたものでございます。中にはあれは画筆を舐(な)めるので紅がつくのだなどゝ申した人も居りましたが、どう云ふものでございませうか。尤もそれより口の...
女客 - 泉 鏡花
  • ...といって縁続き、一蒔絵師(あるまきえし)の女房である。  階下(した)で添乳(そえぢ)をしていたらしい、色はくすんだが艶(つや)のある、藍(あい)と紺、縦縞(たてじま)の南部の袷(あわせ)、黒繻子(くろじゅす)の襟のなり、ふっくりとした乳房の線、幅細く寛(くつろ)いで、昼夜帯の暗いのに、緩く纏(まと)うた、縮緬(ちりめん)の扱帯(しごき)に蒼味(あおみ)のかかったは、月の影のさしたよう。  燈火(ともしび)に対して、瞳|清(すず)しゅう、鼻筋がすっと通り、口許(くちもと)の緊(しま)った、痩(や)せぎすな、眉のきりりとした風采(とりなり)に、しどけない態度(なり)も目に立たず、繕わぬのが美...
半七捕物帳 33 旅絵師 - 岡本 綺堂
  • 半七捕物帳 旅絵師 岡本綺堂      一 「江戸時代の隠密(おんみつ)というのはどういう役なんですね」と、ある時わたしは半七老人に訊(き)いた。 「芝居や講釈でも御存知の通り、一種の国事探偵というようなものです」と、老人は答えた。「徳川幕府で諸大名の領分へ隠密を入れるというのは、むかしから誰も知っていることですが、その隠密は誰がうけたまわって、どういう役目を勤めるかということがよく判っていないようです。この隠密の役目を勤めるのは、江戸城内にある吹上(ふきあげ)の御庭番で、一代に一度このお役を勤めればいいことになっていました。  なぜ御庭番がこのお役を勤めることになった...
半七捕物帳 50 正雪の絵馬 - 岡本 綺堂
  • ...、それが彼(か)の女絵師の孤芳の住み家であった。これで重兵衛と孤芳との関係が、自分の鑑定通りであるらしいことを亀吉は確かめたが、更に近所の者の話を聞くと、孤芳の家には重兵衛のほかに、二十歳(はたち)前後の色白の男が時々に出入りをする。又そのほかに十七八の不器量な娘も忍んで来るというのであった。男はおそらく牧野万次郎で、娘は大津屋のお絹であろう。孤芳が重兵衛の囲い者のようになっている関係上、万次郎とお絹はここの二階を逢いびきの場所に借りている。それもありそうな事だと、亀吉は思った。  その報告を聴いて、半七は云った。 「それだけの事が判ったら、それを手がかりに、もうひと足踏ん込まなけりゃあい...


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