音部

 

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2009年12月21日 23:06:15
2010年01月26日 03:30:59
2010年01月22日 23:36:08
2009年12月4日 11:55:58
2009年11月3日 20:50:46

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春寒 - 寺田 寅彦
  • ...ていた。そして同じ低音部だけを繰り返し繰り返しさらっていた。その音楽の布(し)いて行く地盤の上に、遠い昔の北国の曠(ひろ)い野の戦いが進行して行った。同じようにはかないうら悲しい心持ちに、今度は何かしら神秘的な気分が加わっているのであった。  忠義なハルメソンとその子が王の柩(ひつぎ)を船底に隠し、石ころをつめたにせの柩を上に飾って、フィヨルドの波をこぎ下る光景がありあり目に浮かんだ、そうしてこの音楽の律動が櫂(かい)の拍子を取って行くように思われた。  その後にも長女は時々同じ曲の練習をしていた。右手のほうでひいているメロディだけを聞くとそれは前から耳慣れた「春の歌」であるが、どうかして...
罌粟の中 - 横光 利一
  • ...怨(うら)みこもる低音部の苦しみ悵快(ちょうおう)とした身もだえになると、その音は寝ている梶の腸(はらわた)にしみわたった。  翌日はまたヨハンは約束の時間に顕れた。この日は昼の間街の名所や旧跡を廻った。案内しながら話すヨハンは驚くべき記憶力と彼の博学さを少しずつ謙遜(けんそん)に示し始めて来るのだった。また彼は大学で日本語を教えていること、日本へは一度も行ったことはないが、好きなため一人で日本語の勉強を始めたことなどを梶の尋ねるままに話した。街中で出会う知人たちもヨハンに示す挨拶(あいさつ)は、尊敬をふかく顕しているのを梶はしばしば目撃した。このヨハンに重ねて梶があなたはどの国の言語に...

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